私のイチオシ有名人 (2) 宇多田ヒカル論。

天才。そう評するしかない稀代の人物。

小室哲哉のTKサウンド全盛の時代に現れた新星、まさにニュースター。彼にとってかわった時代の寵児小室哲哉をして「僕を終わらせた」と言わしめた人物。実際には終わっていない私は思っている。ただし、大衆は宇多田に興味や関心を確実にシフトしていったのが実際のところだと思う。ただ、ひとつ言えるのは、宇多田が現れてから、日本音楽界はいい意味で変革したし、小室哲哉らの音楽性も変わった、ということ。宇多田の功績は大きすぎる。他方、TKサウンドにも言いたいことは山ほどあるので、それはまた別の話。

今でも宇多田が「Automatic」でデビューした平成のあの時を鮮明に覚えている。本物のR&Bがついに日本に来た、と評されたような気がする(当時、和田アキ子がそれは私だ、と言っているらしいがそれは知らないし、認めない)。宇多田ヒカル旋風は世間は狼狽に近い衝撃を与えたような気がする。その当時、流行していた音楽と全く違うのだ。戸惑って当然だ。にも拘わらず、人々の琴線になぜか響いてしまう。天賦の才能としかいいようがない。

また、容姿含むカリスマ性、音楽性、人柄、どれも抜群。昨日のブログで述べたように宇多田は完全体である。彼女の90年代の歌を今聞いても少しも懐かしさを感じないのはすごいと思う。ただ、特筆すべき点を一つだけ挙げるとすれば、それは詞だ。昭和時代の女性シンガーソングライターにありがちな、強烈なメッセージ性がほとんどない。たしかに、それはそれでいいものだ。ただ、感性が独特すぎると継続的に活躍するのは簡単でないと思う。一方、宇多田は全く違う。なんというかナチュラルなのだ、フレーズの選び方とひとつとっても。ただし、その言葉選びに圧倒的なセンスを感じる。私が好きな歌を二つだけ挙げる。それは「COLORS」と「Goodbye Happiness」。特にこの二つは舌を巻く。この詩は宇多田しか書けない。なぜこんな言葉が紡げるのか、言葉が見つからない。。。この詩にこのメロディをのせるとこれほどまでの衝撃と感動を呼ぶのか、まさに歌とメロディの化学反応だと思う。玉手箱やー、ではない、化学反応やー。彦摩呂よ、間違えるな。

あと、素直な女心をテーマにしている歌もある。「Movin'on without you」あたりはその典型。宇多田はこんなことも描ける。やはり一人の女性なんだなとも思えるものを提供できるのも、彼女の懐の深さ。この詞を理解できるようになれば、日本人男性ももう少し女性からモテそうな気がする。がんばれ、諸君!!